ミッフィーと異色のコラボ【ミッフィーとほくさいさん】(8冊目)

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『こどもと絵で話そう ミッフィーとほくさいさん』
菊地敦己 (構成)、国井美果 (文)
美術出版社  2016/5/1 初版発行

本書を特にオススメしたい人

  • お子さんがいらっしゃる方
  • お子さんに絵や歴史に興味を持ってもらいたい方
  • ミッフィーが好きな方
  • 浮世絵に興味がある方
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目次

はじめに(本書の紹介)

世界的に有名なキャラクターである『ミッフィー』。

日本人ならば一度は聞いたことがある、もしくはどこかで作品を見たことがある浮世絵画家『葛飾北斎』。

本書は題名のとおり、この2つが異色すぎるコラボを果たした絵本になります。

しかし、どこぞの赤白ボーダーのようにミッフィーがタイムスリップして江戸時代に行くわけではありません。

少々始まりは唐突ですが、ミッフィーが父親とともに北斎の絵を観て、その絵を感じるままに思いを述べる、といった内容になっています。

本書は『絵本』というジャンルから、大人から子供までといった万人には受け入れられないかもしれません。

しかし中々触れることが出来ない or 考えたことの無い『浮世絵』というジャンルに触れるならば『絵本』ゆえにとっつきやすい一冊かと思います。

また、読み聞かせる絵本というよりも『一緒になって読む・見る絵本』ですので、子供だけではなく大人も楽しめる、そんな1冊です。

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読んで思った本書のポイント

1, 異色すぎるコラボ

恐らく、本書を読もうと思った方の大半は 『異色すぎるコラボ』 がまず目に入ったからだと思います。

ミッフィーも北斎もどちらも『それなりに』知っているからこそ、出会うはずのない組み合わせに目を惹かれるのではないでしょうか。

なお、北斎だけではなく『ミッフィーと絵かきさん』シリーズとして、フェルメールやマティスといった他の画家ともコラボしています。

葛飾北斎もフェルメールも、子供の興味を引きにくい題材だと思います。

ですが、彼らの絵が『多くの人の心に残る絵』であることは間違いないでしょう。

そんな彼らの絵に触れることは、表現方法などの技法だけではなく、想像力や感受性を高める一助になるのではないでしょうか。

本書はミッフィーという馴染みやすいキャラクターを通すことで、そういった『名画』に触れやすくしているのかもしれません。

2, 素直な目線

本書では北斎の絵に対してミッフィーが素直な感想を述べていきます。

その感想は中々思いつかない言葉で表現されているものもあり、凝り固まった視点を変えてくれるかもしれません。

例えば、本書の表紙にもなっている『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』。

富士山をバックに大きな波が描かれていますが、これを見てどう感じるでしょう?

ちなみに私は『船を飲み込もうとしている波』に『迫力のある構図だなぁ』といった何の面白みもない感想を持ちました。

ですが、ミッフィーは『富士山に向かって波が叫んでいる』と表現しています。

波が叫ぶといった表現は中々思いつかないのではないでしょうか。

ですが『富岳三十六景』というからには主題は『富士山』であり、波はそれを引き立てる要素だとしたならば、私よりもミッフィーの方が北斎の思いを感じ取ったのかもしれません。

大人が読むならば『違う見方』『どんな見方が出来るか』考えて絵を観てみる。

子供と読むならば『子供の素直な目線』を大切にし、何故そう感じたかを一緒になって考えてみる。

そういったことが出来れば本書と絵の魅力が一層増すかもしれません。

3, 葛飾北斎

葛飾北斎は江戸時代後期を代表する浮世絵師の一人です。

『富嶽三十六景』や『諸国瀧廻り』などを始め、生涯で3万点を超える作品を描いています。

ですが浮世絵や歴史に特に興味がないならば、富嶽三十六景の内数点を教科書やCMなどで見ただけではないでしょうか?

本書ではそんな葛飾北斎の風景画や動物画、漫画(手本集)など13点が挙げられています。

葛飾北斎を専門に解説・紹介する書籍であれば少なすぎるかもしれません。

ですが子供と読むならば見て何を感じたか、どう興味を持ったかが重要になるのではないでしょうか。

巻末には挙げられた絵の説明や所蔵場所なども記されており、本書を見て興味を持ったならば実物を見に行くのも良いかもしれません。

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まとめ

本書はミッフィーと葛飾北斎が異色のコラボを果たした絵本です。

ミッフィーと父親が一緒に北斎の絵を観て、ミッフィーが素直な感想を述べる。

言葉にすればただそれだけの内容なのですが、それ故小難しい解説などは無く、ただ一つの絵として浮世絵を見ることが出来ます。

また、ミッフィーというキャラクターを通すことで子供だけではなく大人でも浮世絵に『とっつきやすく』なっています。

掲載されている浮世絵は富士山などの風景、鶏などの動物といった身近なものを題材にしているものが多いことも『とっつきやすさ』の一つかもしれません。

本書はお子さんがいる方は勿論、浮世絵や北斎に僅かなりとも興味がある方に読んで頂きたい1冊です。





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