雑学・用語解説4(戦争学)

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目次

  1. ナポレオン
    1-2. 三兵戦術
  2. ファランクス(マケドニア)
  3. レギオン(ローマ帝国)
  4. 陸地と海戦の関係
  5. 戦いの原則
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1. ナポレオン

ナポレオン・ボナパルト(1769年8月15日~1821年5月5日)。フランスの革命家、皇帝。

砲兵士官から昇進を重ね、フランス革命の時流に乗って自ら政府を樹立し政権を確保した後、フランス皇帝となる。

皇帝として2回権力の座についており(1804年~1814年、1815年)、2回目は『百日天下』とも呼ばれます。

その功績としてはナポレオン法典の制定、三兵戦術の運用成功、『瓶詰』の開発につながる効率的食糧保存方法の公募などが挙げられます。

本ブログで紹介した『戦争学』では、ナポレオンは当時の常識を破るほど強大かつ大量の砲兵火力により終始火力の優勢を図ったと記載されています。

この運用方法は『砲兵が耕し、歩兵が前進する』といった言葉に表されており、ナポレオンがどれだけ砲兵火力を重視していたかが分かります。

また馬牽きの砲兵を騎兵と随行させ、その突撃を支援させることで三兵種が連携した戦術を取ったとも解説されています。

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1-2. 三兵戦術

歩兵・騎兵・砲兵の3兵科を組み合わせた協同戦闘教義のこと。

上記3兵科を組み合わせた三兵戦術を実践したのはスウェーデン王 グスタフ2世アドルフ(1594年12月9日~1632年11月6日)です。

彼の時代に大砲の軽量化と発射薬の改良による命中精度の向上が成され、『砲兵』兵科が創設されました。

またマスケット銃が改良・軽量化されたのも同時代であり、これにより歩兵の火力が向上、機動力の増加がが起こりました。

更にマスケット銃へ銃剣の取り付けも可能となった為槍兵が姿を消しました。

更に彼は騎兵にはフランスの戦法であった『抜刀突撃(サーベル・チャージ)』と、ドイツの『カラコール戦法(騎兵は敵に接近し射撃した後に反転して後退する戦法)』を組み合わせた新戦法を考案しました。

グスタフ2世アドルフは歩兵の戦闘隊形同士の間隙に騎兵と砲兵を配置、更に軍の両翼にも騎兵を配置し3兵科が協同するような戦法を編み出したのです。

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2. ファランクス(マケドニア)

ファランクスとは重装歩兵を用いた密集隊形のこと。

古代マケドニアで用いられたファランクスはフィリッポス2世により創始されたとされ、後のアレキサンダー大王にも受け継がれました。

構造としては次のとおり。

  1. 前衛に弓を装備した軽歩兵とその両翼に軽騎兵を配置。
  2. 主力として重装甲歩兵と軽装甲歩兵を配置し、その両翼には重騎兵を配置。
  3. 予備隊として槍を装備した歩兵を後方に配置。
ファランクス

向かって右(軽装甲歩兵側)の騎兵が『矛』となり、重装甲歩兵は相手を受け止める『盾』の役割となります。

軽装甲歩兵は動きが速い騎兵と、比較的鈍足な重装甲歩兵を連携させるための緩衝材のような役割を担っていたと考えられています。

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3. レギオン(ローマ帝国)

古代ローマ帝国における戦闘隊形のこと。

その中核構造は以下のとおり。

  1. 20名の横列を6~8列重ねた隊列を1中隊として、10隊配置する(第1線)。
  2. 十分な間隔を開け第1線の隙間に当たる位置に9中隊を配置する(第2線)。
  3. 更に第1と第2の半数の兵員で構成された部隊を第3線として第1線と同じ配置にする。
レギオン(ローマ)

レギオンの特徴は以下のとおり。

  • 重装甲歩兵が打撃力の主役で、騎兵は歩兵陣形両翼の防御
  • 各線の中隊間距離を変えることで戦力密度を調整可能

ファランクスでは騎兵が攻撃の主役だったがレギオンでは歩兵が主役となった要因は、ローマ帝国初期の戦場は平地の少ないイタリア半島だった為であると考えられています。

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4. 陸地と海戦の関係

海戦は海上で起こる戦闘ですが、それには以下の傾向があるとされます。

  1. 陸上戦と密接に関わる沿岸地域で発生しやすい
  2. 海戦の結果が陸上戦に強く影響を及ぼす
  3. 戦闘教義に基づく艦船の性能が勝因に大きな影響を及ぼす
  4. 艦隊基地が存続するならば敗戦した艦隊の復帰は比較的早い

性能が良い艦船があれば勝ち易く、基地があるならば修理や補給もしやすいことから、3と4は予想がつきやすいと思われます。

では、1と2はどういったことなのか。

例えば陸上で戦闘を行っている最中に、海戦で勝利した側が敵軍背後に上陸したとしたらどうでしょうか?

遠征している最中に補給物資や増援を満載した艦船が海戦の敗北で沈没したらどうなるでしょうか?

何れの場合でも陸上戦の勝敗を左右するほど大きな影響が出ることは間違いないでしょう。

また、海上作戦は陸上作戦と密接に関係している為、沿岸地域や海峡など陸上と連携しやすい場所で捕捉されやすい≒戦闘になりやすいと思われます。

これらから、海戦は沿岸地域などで起こりやすく、且つ陸上戦に大きな影響を与えるのです。


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5. 戦いの原則

イギリス陸軍軍人 ジョン・フレデリック・チャールズ・フラー(1878年9月1日~1966年2月10日)が提唱した9点の『原則』のこと。

ざっくり説明すると以下になります。

  1. 目標の原則:明確な目標を確立し、追及せよ
  2. 主導の原則:機先を制し主導権を握ったら絶対に離してはいけない
  3. 機動の原則:敵の精神均衡を破壊するために機動せよ
  4. 奇襲の原則:実行を予期させず、対応させるな
  5. 警戒の原則:有利でも警戒しなければ逆転される、察知し対応せよ
  6. 集中の原則:重要な時期と場所に力を集中し、決勝点から最後まで優勢であれ
  7. 節約の原則:余分な兵力・リソースは一つも無い、恐怖と欲張りは無駄を作る
  8. 統一の原則:戦いは一人の指揮官に指揮を任せよ
  9. 簡明の原則:目的・目標は明快であること

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